作者:柳本 光晴
掲載:ビッグコミックス
区分:漫画
評価:★★★★
絵はヘッタクソ。しかし、悪くはなく許せる範囲。無駄に上手いより全然良い。セリフは、絶妙にとぼけた感じが作者のセンスを感じる。しかし、漫画としてはどうなんだろう。コマ割りとかさすがに良く分からないが魅せ方は正直微妙……? タイトルもヘッタクソ。こっちはマジでダメだと思う。別の作者が付けたのかと疑うレベルで酷い。いやマジでどういうこと?
そして扱う題材は最高。それ以外は正直凡庸だし、これがかの高名なマンガ大賞を獲るなんて信じられないが、取り上げたテーマだけで、自分の中ではアカデミー賞ものですよ!! 「純文」なんていう斜陽真っ盛りのマイナーコンテンツを、媚びずに堂々と書き上げている点が何より凄い。何度でも言うけど、ストーリーやキャラクター等の中身は残念ながら普通。しかしその題材が異色。それを浮いたままではなく、しっかりと掴んで“マンガ”に仕立てているところがこの作品の全てである。これが大賞を獲るってことは、純文も捨てたもんじゃない?とはさすがに思わないけど。
……まあ。キャラやストーリーのぶっとび方が評価されたのであれば、然るべきことだろうが、残念だなと思う。反面、需要ってのは中々長続きするもんだなと考えさせられる。せめて、“純文”という目新しさに魅かれたのであれば、と祈るばかり。ただ、リカさんのキャラクターは人間臭さ全開で一番好きだったなあ。