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※感想については全てネタバレあり。くれぐれも鑑賞後にご覧ください※

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

監督:デヴィッド・イェーツ

脚本・原作:JK・ローリング

区分:映画

評価:★★★

 

 一つ言えるのは、この映画をハリー・ポッターシリーズの延長として見るべきではない、ということ。

本家は、主人公ハリーやその友人たちがあくまでも子供であり、彼らは成長する余白というものを持っていた。そもそもハリー自体が観客と同じ人間界から魔法界に足を踏み入れるのだから、物語への導入がいとも容易い。しかもそのハリーが主人公として分かり易く大活躍するとなれば、古今東西、その手のお話しが万人受けしないはずがない。対して本作はどうだろうか。物語のキーパーソンとして子供達は出てくるものの、基本的には大人の物語だ。その時点で、本家シリーズが提供してくれていたワクワクやドキドキ感とは切り離されることをファンはまず理解しておく必要がある。そして初見の方も、これは異世界のお話しなんだということを前提に、世界観を受け入れ、付いて行く必要がある(ファンタジー等に抵抗がある方はここで一苦労かもしれない)。この点は、はっきり言って本家よりハードルが高く、あまり親切とは言えないだろう。

さて、では本作の一番のポイントは何だろうか。それはやはり『魔法動物』ではないだろうか? 本家と比較し、打ち出すべき箇所は間違いなくそこしかないと思うが、中途半端かな、というのが正直な感想である。随所で動物たちは出て来るし、逃げていったその行方を探すということでストーリーのパーツにもなっている、のだが。オブスキュラスと抑圧された魔法使い、ひいては魔法界と人間界の対立(持つ者、持たざる者の構図)というテーマの印象が強過ぎて、動物たちが脇に追いやれてしまう。そのテーマに動物たち有機的・積極的に絡んでいくのであれば良いのだが、その場面はとうとう見られなかった。さらに言えば、スピンオフ作品として本家との繋がりでもあれば、少なくともファンは喜べたのだが、それも微妙。名称とか名前さえ出しときゃ良いってもんじゃあない。(ここらへんの問題は次回作以降に提示されることを期待。)

ということで、本作は本家のスピンオフとして観るより、別の作品として観るべきだろう。ストーリー自体は悪くないし、テーマもあるし、変わった動物もでてくるし(←)。星★★★。そういえば、パン屋さん開業の後日譚まで丁寧に追っていたことも素直に感動した。良かったね、コワルスキーさん! あとぼんやり思ったのだが、この作者って、こういうもっとシリアスな作風やテーマの方が合うんじゃないだろうか。『カジュアル・ベイカンシー』もとても面白かったし。

しかしこのシリーズ、ローリングによれば5部作から成るらしい。先が思いやられるのと同時に、先述した物足りなさの改善や大化けのチャンスもあるということなので、優しく見守っていきたいところだ(しかも次回は、みんな大好きジョニー・デップが出演するらしい)。余談だが、ヒロイン的ポジションのティナを演じた女優さんが普通にキレイだった。次回作も出るのかな? でも一話完結っぽかったし、無理かなあ……